干し物について
基本的に生き物が生きていく為には、水が必要です。
しかし、食べ物を食べる時にバイ菌や細菌などが存在しています。
細菌は水分を取り除くと、生存できにくくなります。
つまり、乾燥させる事で安全性が向上した食品開発ができます。
特に太陽熱は、脱水効果と殺菌効果によって干し物が形成できました。
目次
干し物について
干し物は、発酵食品です。
乾燥の過程で発酵が進行して、干物特有の味が出てきます。
①紫外線
食品保存技術として太陽光による天日干しがあります。
そして天日干しは、太陽光の紫外線で太陽エネルギーがあります。
食品中にある水分は、太陽エネルギーを受け取って分子運動を活性化します。
その後、食品から脱出して乾燥化します。
さらに紫外線は、細菌を直接抹殺する殺菌作用があります。
②乾燥
植物や動物は、水分がないと、数日程度で枯れて死んでしまいます。
食物を乾燥する事によって、長期保存ができます。
具体例は、魚の干物、干し大根、干し芋などです。
しかし、細菌は健在します。
一般的に細菌は、乾燥状態で繁殖しにくくなるだけで死滅する事ではないです。
水分を含ませると、細菌が元の活動状態に戻ります。
③燻製
主に予め塩水に漬けたり、素材の表面に塩を煉つけたりします。
つまり、塩蔵です(殺菌作用があります)。
基本的に燻製は、素材に熱がかかります(熱殺菌作用です)。
木材を燻してできる煙の中は、多くの種類の有機物が含まれています。
具体例は、フェノール類、カルボニア化合物、有機酸などです。
●フェノール類は、石炭酸です(消毒薬に活用しています)。
●カルボニア化合物は、燻製に独自の香りや渋さを入れた化合物です。
●有機酸は、有機化合物の総称です。
④火山灰
灰干しで利用する方法です。
火山灰を使用して魚を乾燥します。
下処理をした魚を薄い塩水に潜らせて、水を拭き取った後に和紙で包みます。
箱に詰めた火山灰の上に並べて、魚の上に火山灰を被せて適切な時間放置して完成です。
つまり、水分が灰に吸収されて魚が乾燥状態になります。
魚から発生する匂い成分のアンモニアは、多孔性の火山灰によって吸収します。
そして、低温で乾燥する事ができる魚の傷みも少なくなります。
干し物と発酵について
魚の干し物は、独特な旨味成分があります。
具体例は、スルメ、クチコ、鰯の干し物、鯵の干し物、穴子の干し物などです。
生の新鮮な魚の味とは異なります。
つまり、発酵過程で生じたアミノ酸が大きな影響を与えているからです。
1度乾燥すると、発酵によるアミノ酸が増えます。
日干しにした魚介類は、アミノ酸が増加して生の新鮮な魚よりも旨味成分が増えています。
ちなみに中国料理は、一旦日干しにした魚介類を水で戻して料理で調理する事があります。
具体例は、干し貝柱、キンコ、干し鮑などです。
特殊な干し物について
東京都内の伊豆諸島で製造しているクサヤの干し物があります。
魚を開いて内臓を取り除いた後、クサヤ汁に漬けてから乾燥します。
特殊な匂いと独特な旨味成分があるので、人によって好みが大きく分かれます。
ちなみにくさや汁は、水、塩、漬けた魚の成分が混ざった液体です。
江戸時代、年貢として塩を納税する事が義務化していました。
干し物にする魚を漬けた塩水を棄てる事なく、繰り返して使用しました。
当時の塩は、貴重品だったからです。
最終的に塩水の中に乳酸菌が繁殖して、独特な匂いと旨味が生じました。