肥料の基礎知識

山地は、肥料を施さなくても毎年草木が育っていきます。

しかし、農業は肥料が必要です。

高い収穫力が求められているからです。

現代の農業は、単一の作物を毎年栽培しています。

持続的な収穫は、土壌(岩石が変形した自然体です)に含まれている

天然供給養分(人間が施していない土壌中の養分です)だけでは養分が不足してしまいます。

つまり、作物が必要な養分が足りない部分を肥料で補充する役割があります。

目次

肥料の基礎知識について

肥料は、植物を生育させる為の栄養分として人間が施すモノです。

植物の栄養に寄与します。

必要な養分は、天然供給養分と肥料養分が必要です。

そして作物がよく育つ為には、窒素、カリウム、リン酸が重要です。

さらに土壌中の水、大気中の炭酸ガスや酸素から供給されています。

 

ちなみに、生物が生育するのに必要な元素があります。

多量要素は、作物の生育に必要な栄養素の中で0.1%(パーセントです)以上の栄養素です。

具体例は窒素、カリウム、リン酸、硫黄、マグネシウム、カルシウムなどです。

つまり、肥料から補い必要があります。

最近は、肥料不足よりも過剰になりすぎて品質や収量を低迷させている事が問題です。

栄養素 主な性質
窒素 たんぱく質、アミノ酸、葉緑体、酸素に関係します。
根の発育や茎葉の伸長を促進して、養分の吸収同化に寄与します。
カリウム 炭水化物や光合成の移動蓄積に関係します。
硝酸の吸収、たんぱく質合成に働きます。
開花や結実の促進、根や茎の強化です。
リン酸 体内のエネルギー伝達、呼吸作用に関係します。
植物の生長、根の伸長、開花や結実の促進です。
硫黄 化合物を作る際に関係します。
葉緑体の生成に間接的関与、炭水化物代謝です。
カルシウム 体内に過剰にある有機酸の中和に関係します。
細胞膜の強化、耐病性の強化、発育の促進です。
マグネシウム 葉緑体の成分に関係します。
リン酸との吸収と体内移動に関与します。
炭水化物代謝、酸素の活性化です。

作物に欠かせない養分について

①窒素

作物の生育と収量に最も関わる栄養素です(葉肥です)。

主に葉色を濃くしたり、茎葉を伸長させたりします。

過剰に与えすぎると、軟弱に育って病虫害に繋がります。

 

②カリウム

根の発育を促進に寄与します(根肥です)。

土壌にあればあるだけ作物が吸収してしまう性質があります。

しかし、窒素よりも重要度が低いです。

 

③リン酸

開花や結実に寄与します(花肥、実肥です)。

日本の土壌は、リン酸が欠乏しがちです。

しっかり投与しないと、作物が減収する事が多いです。

 

④マグネシウム

葉緑体を構成する成分です。

植物体内の酸素の活性化を促進します。

土壌中に不足すると、古い葉から上の葉に移動します。

つまり、欠乏症状は下の葉から発生します。

しかし、マグネシウムはカリウムとの拮抗作用で欠乏症状を引き起こす事があります。

 

⑤カルシウム

根の伸長を促進します。

特に根の先端の正常な発育に欠かせない成分です。

細胞と細胞の結びつきを強化します。

カリウムが過剰な土壌の場合は、拮抗作用でカルシウムの吸収が抑制されます。

 

⑥硫黄

病気予防の成分があります。

硫黄が不足すると、作物が軟弱になりやすいです。

新しい上の葉から発症しやすいです。

日本の土壌は、天然の硫黄が多いです。

微量要素について

植物体内にあまり多く含まれていない栄養素があります。

土壌中の天然ミネラル成分が供給源です。

微量要素は、作物の生育に必要な栄養素の中で0.01%以下の栄養素です。

具体例は鉄、銅、亜鉛、塩素、マンガン、ニッケル、モリブデン、ホウ素などです。

有用元素は、特定の作物に有益な働きをする栄養素です。

具体例はコバルト(豆科作物に有効です)、ケイ素(稲科作物に有効です)などです。

栄養素 主な性質
葉緑体の前駆物質の合成に関係します。
光合成の化学反応に関わる酸素の構成成分です。
ちなみに、土壌中に大量に含まれています。
光合成と呼吸に関係します。
葉緑体中の酸素たんぱく質に多く含まれています。
亜鉛 葉緑体の形成や植物生長ホルモンの調整に関係します。
生体内酸素の活性に寄与します。
細胞分裂に必要です。
塩素 光合成の酸素発生反応をマンガンと共に触媒に関係します。
塩素を施用すると、繊維質が多くなりますです。
ホウ素 細胞膜の形成と維持に関係します。
欠乏すると、根の伸長が阻害されます。
ニッケル 植物体内で生じる尿素の分解酵素であるウレアーゼの構成成分に関係します。
たんぱく質の合成に繋がります。
マンガン 葉緑体の生成、光合成の活性化、酸素の活性化に関係します。
モリブデン 植物体内の硝酸還元酸素の構成成分に関係します。
硝酸態窒素のたんぱく質同化に寄与します。
根粒菌の窒素固定に必要です。

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