シアン化カリウムについて

毒殺で有名な青酸カリは、工業的に重要な無機化合物です。

しかし、毒物及び劇物指定令でシアン化合物として毒物に指定されています。

そして、人体に有害な毒物です。

さらに全血中のシアン濃度は、1.0μg/ml(マイクログラム・パー・ミリリットルです)~

2.5μg/mlで意識障害、2.5μg/ml~3.0μg/mlで昏睡、3.0μg/ml以上で死亡です。

目次

シアン化カリウムについて

シアン化カリウムは、無機化合物です。

別名は、青酸カリ、青酸カリウム、青化カリです。

シアン化水素(青酸です)とカリウムが反応してできています。

固体はカリウムイオンとシアン化物イオンによるイオン結晶です。

シアン化物イオン中の炭素と窒素は、三重結合を形成しています。

 

シアン化カリウムはを飲むと、胃の中の塩酸と反応してシアン化水素が発生します。

シアン化水素が食道を逆流して気管に入ります。

肺に入った後、ヘモグロビン(肺に入った酸素を細胞に届けるたんぱく質です)と接触します。

正常のヘモグロビンは、肺に入った酸素とへ結合して血流に乗って細胞に行きます。

酸素を細胞に渡して、空身になって肺に戻ります。

その後、酸素を担いで細胞に行きます。

 

しかし、青酸とヘモグロビンが結合すると、離れようとしても離れない構造になります。

つまり、ヘモグロビンは酸素を運搬する事ができなくなります。

最終的に細胞が酸素不足になって死亡します。

シアン化カリウムは、毒性の揮発になります。

ちなみに、一酸化炭素も同様の構造です。

シアン化カリウムの特徴について

人間が化学反応を行って人為的に形成したシアン化カリウムは、危険な猛毒物質です。

金メッキに活用できます。

そして金メッキは、金を水溶液に溶かす必要があるからです。

基本的に金は、水銀やヨードチンキなどに溶けます。

さらに水溶液で金を溶かす方法は、王水(硝酸と塩酸の混合物です)を使用します。

青酸カリ、青酸ソーダなどの青酸化合物の水溶液も溶けます。

つまり、メッキ工場で青酸化合物が必要です。

シアン化カリウムの悪用例について

1948年01月26日、帝銀事件が引き起こりました。

東京都豊島区長崎にあった帝国銀行椎名町支店帝国銀行(市中銀行です)で

保健所員を装った犯人が侵入しました。

行員16人程度に赤痢(伝染病です)の予防薬として

偽った青酸カリを飲ませて12人を毒殺した事件です。

つまり、現金と小切手を奪った銀行強盗殺人事件です。

ちなみに同年08月21日、日本画家として活動していた平沢貞通さんを逮捕しました。

 

当時は、東京市街で第2次世界大戦によるアメリカ合衆国軍による無差別空襲を受けました。

焼け野原になって、焼け残った工場が放置されていました。

当時の犯人は、メッキ工場の青酸カリを盗みました。

青酸カリは即効性があるので、ほとんど即死状態に繋がります。

 

帝銀事件に使用された毒物は、シアン化カリウムではない諸説もあります。

シアンヒドリンの疑いも考えられます。

そしてシアンヒドリンは、胃の中の酸に結合して初めて青酸を出す遅効性の毒物です。

しかし、シアンヒドリン(特殊な試薬です)を抽出して

10人程度の人間を殺すだけの量を確保する事自体が非現実的です。

必要に応じて科学者が生成するので、大学の実験室にほとんど置いていないです。

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