瘢痕について
傷の跡や火傷は、できるだけ目立ちにくくしたいです。
しかし、跡は様々な形や部位によって目立ち方が変わります。
そして、治療法も異なるので厄介な問題です。
通常、傷は24時間以内に表皮の細胞が接着し始めます。
深い傷の場合は、3日程度〜4日程度かかります。
基本的に毛細血管や皮下組織の線維が形成されていきます。
1週間程度で接着が強くなっていくので、
ほとんどの手術工程が1週間程度後に抜糸をする理由に繋がります。
目次
瘢痕について
瘢痕は、医学的な傷跡の事です。
基本的に表皮〜真皮の浅い層までの傷は、跡を残さずに治療が期待できます。
しかし、浅い層よりも深い層の傷は、痕跡化して跡が残ります。
①肥厚性痕跡
線維が過剰に作られて傷が赤く盛り上がっています。
真皮が結合組織に置き換わります。
数年程度で萎縮性痕跡に近づきます。
②萎縮性痕跡
毛穴がなくなっています。
真皮が結合組織に置き換わります。
③ケロイド
傷を越えて正常組織にまで赤い痕跡がが広がる事です。
再発を繰り返します。
痛みや痒みなどを伴う事が多いです。
縫縮術について
手術後は1本の細い傷跡になるので、かなり目立ちにくくなります。
完全に皮膚を切り離さない植皮法の1種です。
最後に残る傷跡の長さが長くなります。
大きくなると、そのままでは皮膚が縫い寄せられないので
周囲の目立たない場所から皮膚を回してきて切除した場所をカバーします。
つまり、なるべく跡を縫い縮めて1本の細い線状の傷跡にする方法が理想です。
ちなみに大きな跡は、他の目立たない場所から皮膚を採取して移植します(植皮です)。
しかし、皮膚を採取した場所には傷が残ります。
手術相場は、3万円程度です(1cm程度です)。
入院期間は、日帰りです。
傷跡の周りを一回り大きく切除します。
切除線の両端を鋭角にして、術後の傷跡は元の傷跡よりも大きくなります。
真皮を縫います。
その後、表皮を縫って1本の傷跡にします。
抜糸は、表皮を縫った糸だけを抜きます。
真皮を縫った糸は抜糸しなくても特に問題がありません。
①当日
傷跡を冷やして帰宅します。
シャワーは、不可です。
②翌日以降
医師の指示通りに消毒をします。
テープで固定していきます。
③1週間程度後
抜糸をします。
組織拡張器について
エキスパンダーは、大きな跡に対してシリコン製のバッグを使用します。
バッグを周囲の正常な皮膚の下に入れて、バッグに少しずつ水を入れてる事によって、
正常皮膚を拡大して拡大した皮膚による大きな欠損部をカバーします。
基本的に繰り返して行う事で、大きな跡を治療に期待できます。
しかし、バッグを膨らましている期間が長くなって生活に支障が生じる事があります。
①傷跡付近の健康な皮膚にエキスパンダーを埋め込みます。
②術後の傷が落ち着いてきた後、注射器で水を注入します。
エキスパンダーを膨らまします。
③健康な皮膚が伸びて傷跡が十分覆えるようにします。
2回目の手術をして、傷跡を切除します。
エキスパンダーを取り出します。
伸びた皮膚で傷跡部位を補います。
細胞培養について
細胞培養は、皮膚の1部を少し採取して移植する方法です。
現在は、完全な状態の皮膚を生成する事が困難です。
特に冬は、湯たんぽで低温火傷をする人がいます(来夏まで完治しない事があります)。
そして下腿(膝から足首までの部位です)は、血行が悪いです。
植皮をしても色素沈着に繋がるので治療が難しいです。
しかし、基本的に縫い縮めて1本の傷にする方法が主流です。
最近は、薄い傷跡をさらに薄くするレーザー治療がありますが時間がかかります。