プロトンポンプ阻害薬について

プロトンポンプ阻害薬(PPIです)は、胃酸分泌の最終段階であるフロストポンプを

阻害して、酸分泌を抑制しやすくします。

主にヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌です)の除菌療法に採用されています。

そして2015年、ボノプラザンフマル酸塩(新しいPPIです)が保険許可されました。

つまり、カリウムイオン競合性アシッドブロッカー(P-CABです)です。

従来のPPIよりも、酸による活性化が必要ないので作用発現が速いです。

酸に安定的な効果が期待できます(ピロリ除菌成功率が高まりやすいです)。

目次

プロトンポンプ阻害薬について

プロトンポンプ阻害薬は、胃酸を分泌する細胞にあるプロトンポンプの

仕組みを阻害する事によって、胃酸の分泌を強力に抑えやすくする薬です。

 

ランソプラゾールは、胃酸の分泌を強力に抑えやすくするPPIの1種です。

カプセル錠剤は、15mg(ミリグラムです)程度、30mg程度です。

口腔内崩壊錠剤は、15mg程度、30mg程度です。

静注剤は、30mg程度です。

 

胃潰瘍・逆流性食道炎の場合は、1日1回程度の30mg程度です(8週間までです)。

十二指腸炎の場合は、1日1回程度の30mg程度です(6週間までです)。

再発・再燃を繰り返す逆流性食道炎の維持療法の場合は、

1日1回程度の15mg程度〜30mg程度です(8週間までです)。

非びらん性胃食道逆流症の場合は、1日1回程度の15mg程度です(4週間までです)。

低用量アスピリン・非ステロイド性抗炎症薬投与時の

胃潰瘍や十二指腸炎の再発抑制の場合は、1日1回程度の15mg程度です。

 

ボノプラザンフマル酸塩は、胃内のpH(水素イオン指数です)を

安定して中性に近い状態にする事が可能です。

しかし、従来のプロトンポンプ阻害薬よりも高価です。

コントロールが難しい重症の胃食道逆流炎(GERDです)に対して効果が期待されています。

ちなみに、消化器症状(下痢や便秘などです)、肝障害などの

副作用の発現は十分注意する必要があります。

●水素イオン指数は、溶液の酸と塩基の程度を表す物理量です。

つまり、液体の酸性・アルカリ性の度合いを示す単位です。

 

主な副作用は、無顆粒球症、重篤な肝機能障害、中毒性表皮壊死融解症(TENです)、便秘、

皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群です)、汎血球減少、下痢などです。

服薬指導について

ランソプラゾールは、胃粘膜の細胞壁にある胃酸分泌過程の最終段階で働いている

プロストポンプを阻害する事によって、胃酸の分泌を抑えやすくします。

つまり、抑制作用がH₂受容体遮断薬(H₂ブロッカーです)も強力です。

そして、ヘリコバクター・ピロリ除菌に寄らない消化性潰瘍や胃食道逆流症は、

プロストポンプ阻害薬の選択肢の1つになります。

●H₂受容体遮断薬は、ヒスタミンが胃壁細胞のH₂受容体に結合する事を

阻害して胃酸の分泌を抑えやすくする薬です。

 

症状が消失しても、再発する場合があります。

医師の指示を受けて、一定期間服用する事が重要です。

さらに薬を投与して症状が良くなっても、潰瘍が治った訳ではないです。

勝手に中止せずに、医師や薬剤師に相談しましょう。

一般的に刺激が強い食品やアルコール摂取制限などを指導する事が多いです。

注意事項について

ランソプラゾールは、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、

逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌療法に利用されています。

そして肝障害がある患者さんは、ランソプラゾールの代謝、排泄が遅延する場合もあります。

つまり、慎重に適応を検討する必要があります。

さらに肝機能検査、腎機能検査、血液検査を定期的に行って、副作用の発現に要注意です。

 

タケプロンOD錠(口腔内崩壊錠剤です)は、腸陽性があるので粉砕できないです。

ちなみにタケプロンカプセルの脱カプセルは、可能です。

オメプラゾール(オメプラールです)は、腸溶錠なので噛んだり、

砕いたりしない事を患者さんに説明します。

 

併用禁忌は、リルピビリン、アタザナビルです。

薬剤作用増強は、タクロリムス、ジゴキシンです。

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