利尿薬について
利尿薬は、身体に溜まっている水分(循環血液量です)を
減少させる事で心臓からの拍出量を減らしやすくします。
そして、末梢血管抵抗を下げる事で血圧を低下しやすくします。
さらに、主にループ利尿薬、K保持性利尿薬、サイアザイド系利尿薬に分類されています。
ループ利尿薬とK保持性利尿薬は、チアジド系利尿薬(腎臓の遠位尿細管で塩分と
水分の再吸収を阻害して、余分な体液を尿として排泄させやすくする薬です)よりも
血清脂質への悪影響が少ない傾向があります。
ちなみに糖尿病用薬であるSGLT2阻害薬を服用している人は、
利尿薬を併用する事で脱水症状に繋がるので推奨されていないです。
目次
利尿薬について
利尿薬は、体内の余分な水分やナトリウムを尿として排出させる事で
むくみ・高血圧・心不全などの症状を改善しやすくする薬です。
フロセミドは、主に高血圧や浮腫の治療に使用されている強力なループ利尿薬です。
細粒錠剤は、4%(パーセントです)です。
錠剤は、10mg(ミリグラムです)程度、20mg程度、40mg程度です。
注射剤は、20mg/2mℓ(ミリグラム毎ミリリットルです)程度、100mg/10mℓ程度です。
内服の場合は、1日1回程度の40mg程度〜80mg程度を連日や隔日です。
ちなみに悪性高血圧の場合は、他剤併用する事があります。
スピロノラクトンは、体内のホルモンの1種であるアルドステロンの働きを抑える
抗アルドステロン薬に分類されているK保持性利尿薬です。
細粒錠剤は、10%です。
錠剤は、25mg程度、50mg程度です。
1日50mg程度〜100mg程度を分割投与です。
トリクロルメチアジドは、サイアザイド系利尿薬やチアジド系降圧利尿薬です。
腎臓の遠位尿細管でナトリウムや水分の再吸収を阻害して、
利尿作用によって体内の余分な水分を排泄します。
錠剤は、1mg程度、2mg程度です。
1日2mg程度〜8mg程度、1回程度〜2回程度に分服です。
主な副作用は、アナフィラキシーの症状、再生不良性貧血、汎血球減少症、無顆粒球症、
赤芽球癆、皮膚粘膜眼症候群、トルサード・ド・ポアンツ、間質性腎炎、難聴、電解質異常、
抗尿酸血症、高血糖、貧血、発疹、肝機能障害などです。
ループ利尿薬の服薬指導について
フロセミドは、ヘレン・ループ上行脚でNa/K/2CI共輸送を阻害する事で
Na⁺(ナトリウムです)とCI⁻(塩化物イオンです)の再吸収を抑制して、強力な利尿効果に繋がります。
腎不全患者さん(クレアチニン>2.5mg/dℓです)に最も効果が期待できます。
さらに、浮腫の改善に繋がります。
●ヘレン・ループ上行脚は、腎臓のネフロン(腎単位です)にある
下行脚を折り返して皮質へと戻る部分です。
●Na/K/2CI共輸送は、ナトリウムイオン、カリウムイオン、2つの塩化物イオンを
細胞膜を横断して同時に同じ方向に輸送するタンパク質です。
無尿、肝性昏睡、体液中のNa⁺やK⁺(カリウムです)が
明らかに減少している人は、投与禁忌です。
そして夜間の排尿を避ける為に、昼間は服用する事が多いです。
さらにループ利尿薬は、用量依存的な副作用があります。
具体例は、低マグネシウム血症、低カリウム血症などです。
電解質異常を起こして不可逆的な聴神経障害(難聴です)が
発生する事があるので要注意です。
耳が聞こえにくくなった人は、医師や薬剤師に相談しましょう。
ループ利尿薬の注意事項について
低カリウム血症は、ジギタリス、ACTH、グリチルリチン製剤、
副腎皮質ホルモン剤、甘草含有漢方製剤です。
降圧作用増強は、降圧薬(β遮断薬です)です。
利尿作用増強は、糖尿病用薬のSGLT2阻害薬です。
K保持性利尿薬の服薬指導について
スピロノラクトンは、心不全患者さんに対する利尿効果が強くない傾向が高いです。
つまり、サイアザイド系利尿薬と併用可能です。
遠位尿細管と接合集合管のアルドステロン依存性Na-K交換部位で
アルドステロンの作用に拮抗します。
Naの再吸収とK分泌を阻害して、腎臓の利尿作用に期待できます。
心筋肥大や繊維化を抑制するなどの心不全に対して有効性があります。
性ホルモン受容体と親和性があります。
性ホルモン関連の副作用が発現する可能性もあります。
男性の場合は、乳首が腫れて傷んだりします。
女性の場合は、乳房痛、月経不順、少し毛深くなります。
服用を止めると、回復しやすいですが、気になる人は医師や薬剤師に相談しましょう。
K保持性利尿薬の処方箋の注意事項について
無尿、急性腎不全、高カリウム血症、アジソン病、タクロリムス・
エプレレノン・ミトタン投与中の人は、利用できないです(投与禁忌です)。
タクロリムス、エプレレノン、ミトタンは、併用禁忌です。
ちなみに、長期投与で高カリウム血症が発現する事があるので定期検査が必要です。
サイアザイド系利尿薬の服薬指導について
トリクロルメチアジドは、サイアザイド感受性Na/CI共輸送を阻害します。
遠位尿細管のNa再吸収を阻害して、Naと水の排泄を促進しやすいです。
つまり、循環血液量を低下させて血圧が効果しやすいです。
主な副作用は、顔面潮紅、光線過敏症、発疹、電解質異常や脂肪異常などです。
