X線の核融合について
1980年、各国でレーザー核融合を実現する為に実験が本格化しました。
そして、大型レーザーが建設されていきました。
日本では、1980年代〜1990年代にかけて核融合点火に必要な超高温(1億度です)と
超高密度(1000倍圧縮です)の状態を別々に達成しました。
さらに2010年、アメリカ合衆国やフランスが人類初の核融合点火燃焼を実施する為に
メガジュールを超える超大型レーザー装置の建設が国家プロジェクトとして始まりました。
その後、中心点火方式の開発が活発化しました。
目次
X線の核融合について
レーザー核融合は、レーザー光をターゲットに照射して濃縮した核融合をします。
①直接照射方式
レーザー光を燃料ターゲットに直接照射します。
ターゲット周辺のプラズマで吸収されたレーザー光のエネルギーは、
プラズマ中の電子の熱エネルギーになります。
熱伝導によってターゲット内部に運ばれて
プラズマの膨張を引き起こします(アブレーションです)。
膨張の反作用がターゲットを内向きに加速して燃料を圧縮します。
②間接照射方式
X線で燃料ターゲットを照射して爆縮を駆動します。
燃料ターゲットを取り囲む高原子番号物質の容器(キャビティです)を
レーザー光のエネルギーを高効率で軟X線エネルギーに変換できます。
つまり、X線輻射がターゲットのアブレーションを引き起こすので、
X線輻射駆動アブレーションによる爆縮が起こります。
ちなみにX線輻射駆動爆縮は、キャノンボールターゲットやホールラウムターゲットで有名です。
レーザー核融合点火について
日本では、中心点火方式よりも高速点火方式を採用しました。
大きな特徴は、中心点火方式よりも低いエネルギーで点火燃焼ができます。
つまり、高い核融合利得が期待できます。
核融合の燃料の大きさが従来の半分以下になる可能性があります。
つまり、核融合で取り出せる最低エネルギーを小さくできて、
数十万kW(キロワットです)の発電炉もできます。
高速点火方式は、加熱向けのペタワットレーザーの開発が重要です。
濃縮プラズマを高効率加熱ができます。
さらに、燃料プラズマの密度が十分高く保たれている数十ピコ秒の時間、
効率良い加熱が期待できています。
ちなみにピコ秒は、時間の単位の1つです(1秒/1兆分、10秒〜12秒です)。
直接照射方式と間接照射方式について
①直接照射方式
レーザー光から爆縮エネルギーへの変換効率が高いです。
しかし、レーザー光の持つコヒーレンスに起因する照射強度の不均一性が発生しやすいです。
直接照射は、エネルギー媒体が光や加熱された比較的高温の電子、間接照射では軟X線や
加熱された比較的低温の電子でエネルギー輸送や駆動するアブレーションの様相が変化します。
②間接照射方式
発生するX線は、インコヒーレントであるので照射一様性があります。
X線への変換過程やX線照射の幾何学的配置によるロスがあるので効率が劣化します。
しかし、所用のレーザーエネルギーが大きなってしまいます。