化学物質審査規制法について
国家や地方自治体の政令と政策は、化学業界に大きな影響を及ぼしています。
特に物質の審査や製造に関する法律が重要です。
そして、日本の製造業の中で化学工業部門の営業利益率が非常に高いです。
2019年度の化学工業の営業利益率は、8.5%(パーセントです)です。
全製造業平均の3.5%を大きく上回っています。
さらに製造業の業種別営業利益率は、化学工業が8.5%、
生産用機械器具製造業が5.7%、汎用機械器具が5.5%です。
目次
化学物質審査規制法について
化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律は、1973年に制定した
人の健康及び生態系に影響を及ぼす恐れがある
化学物質による環境の汚染を防止することを目的とする法律です。
別名は、化審法です。
主なチェック項目は、化学物質の有する性状の中で分解性、
蓄積性、動植物への毒性、人間への長期毒性などです。
上市(新しい商品・サービスを市場に出す事です)前の自前調査や
上市後の継続的な管理によって、環境汚染を防止する前提です。
化審法は、主に3つの規定があります。
①新規の化学物質に関する自前調査です。
新たに製造、輸入、上市しようとしている化学物質です。
②上市後の化学物質の継続的な管理です。
製造、輸入数量の把握(事後届出です)、有毒性情報の報告に基づくリスク評価などです。
③化学物質の性状に応じた規制の実施です。
蓄積性、分解性、毒性、環境中の残留状況に基づき化学物質を分類した上で、
各自規制措置を講じます。
化学物質審査規制法の流れについて
新規化学物質→事前確認→上市→第1種特定化学物質、監視化学物質、
第2種特定化学物質、優先評価化学物質、一般化学物質、特定一般化学物質です。
①事前確認
主に低生産(高濃縮ではなく、年間10t以下です)、中間物(政令で定める用途です)、
低懸念高分子化合物、少量新規(年間1t以下です)などなどの規制措置が講じられます。
②第一種特定化学物質
環境中への放出を回避できます。
難分解、高蓄積、高次捕食動物(食物連鎖の頂点に位置する動物です)への長期毒性、
人間への長期毒性などです。
基本的に製造の許可制(必要不可欠な用途以外は禁止です)、
輸入の許可制(必要不可欠な用途以外は禁止です)、政令特定製品の輸入禁止、
回収等の措置命令などの規制措置が講じられます。
②第ニ種特定化学物質
環境中への放出を抑制します。
人間の健康や整体環境を損なうリスクがあります。
製造(予定や実績です)、輸入(予定や実績です)、数量、詳細用途の届出、
取り扱いに関する技術指針の適用、政令指定製品の表示、
必要がある場合の予定数量の変更命令などの規制措置が講じられます。
③監視化学物質
使用状況を詳細に把握します。
難分解、高蓄積、毒性不明です。
製造実績数量、輸入数量実績、詳細な用途の届出義務などの規制措置が講じられます。
④優先評価化学物質
国がリスク評価します。
有害性、使用状況を詳細に把握する必要があります。
製造実績数量、輸入実績数量、詳細用途の届出、情報伝達の努力義務、
有害性調査表示などの規制措置が講じられます。
⑤一般化学物質・特定一般化学物質
国がリスク評価します。
使用状況を大まかに把握する必要があります。
製造実績数量、輸入実績数量、詳細用途の届出、
情報伝達の努力義務(特定一般化学物質のみです)などの規制措置が講じられます。