放射線について
不安定な原子核、加速された荷電粒子、核反応によって放出される
高エネルギーの粒子線である放射線は、空間を飛び散っている素粒子です。
そして放射線は、物質への透過力が強いです。
さらに物質を通過すると、電離や励起を起こします。
ちなみに粒子加速器、放射線性同位元素、原子炉から発生します(人工放射線です)。
宇宙線、放射性核種(自然に放射線を放出崩壊して
他の原子核に変わる原子核です)から発生します(自然放射線です)。
目次
超ウラン元素について
放射線は、高い運動エネルギーを持って流れる物質粒子と
高エネルギーの電磁波の総称です。
そして素粒子は、アルファ線、ベータ線、中性子などです。
高エネルギーの電磁波はガンマ線、X線などです。
①人工放射線
医療で診断に利用されているレントゲン撮影、CTスキャンなどのX線、
核分裂のエネルギーを取り出す原子力発電所で生まれる放射線です。
そして人工放射線は、放射線の種類や性質は自然放射線と変わりないです。
つまり、人体への影響も自然放射線と変わりません。
医療によって受ける人工放射線の量は、胃のレントゲン撮影が3.0mSv程度です。
胸部のレントゲン撮影が0.06mSv(ミリシーベルトです)、
CTスキャンは3mSv程度~13mSv程度です。
さらに原子力発電所の周辺の放射線量は、1年間に0.05mSv以下です。
実際は、0.001mSV未満で運用されています。
ちなみに日本人が1年間に受けている平均放射線量は、5.98mSv程度です。
世界平均放射線量は、3.0mSv程度です。
海外よりも放射線量が高い理由は、医療からの放射線量が高いからです。
②自然放射線
宇宙から来る宇宙線、植物に含まれている放射性物質から発生する放射線、
地表の岩石に含まれているウラン(Uです)、ラジウム(Raです)、
トリウム(Thです)などから発生する放射線などです。
さらに人工放射線は、放射線の種類や性質は自然放射線と変わりないです。
つまり、人体への影響も自然放射線と変わりません。
放射線の種類について
①荷電粒子線
α線、β線、陽子線などの荷電を持った粒子線です。
ちなみにα線は、α崩壊によって放出されるヘリウムの原子核が
飛び散っている素粒子線です(離散的エネルギーです)。
β線は、β崩壊で発生する電子線です(連続的エネルギーです)。
②非荷電粒子線
X線、γ線、中性子線などの荷電していない粒子線です。
ちなみにγ線は、高エネルギーの電磁波です。
α崩壊やβ崩壊によって核は、励起状態(高エネルギー状態です)になります。
つまり、励起エネルギーがγ線として放出されます(物質中の透過距離が長いです)。
放射線名 | 素粒子名 | 粒子線名 |
---|---|---|
α線 | ヘリウム原子核 | 荷電粒子線 |
β線 | 電子 | 荷電粒子線 |
陽子線 | 陽子 | 荷電粒子線 |
X線 | 光子 | 非荷電粒子線 |
γ線 | 光子 | 非荷電粒子線 |
中性子線 | 中性子 | 非荷電粒子線 |
放射線エネルギーについて
放射線が物質中を移動すると、放射線のエネルギーが消失して
透過された物質にエネルギーを与えます。
そしてα線やβ線などの荷電粒子は、原子中の電子との衝突によってエネルギーを失います。
原子中の電子は、電荷を持っているので
入射してきた荷電粒子との間に電気的な引力が働きます。
さらに電子がげんしから放出されると、原子は電離してイオンに変化します。
電子が放出されない場合は、電子がクローン化して
エネルギーを得て高エネルギー状態になります(電子が励起した事です)。
γ線やX線などの電磁波が物質に当たると、電磁波エネルギーが低い場合は
入射した電磁波が電子に吸収されてエネルギーを得た電子が原子から放出されます。
エネルギーが高い電磁波が電子に吸収されると、電子にエネルギーを与えて電子を放出させて
同時に入射した電磁波よりも波長が長くエネルギーの小さい電磁波が放出されます。
ちなみに高いエネルギーの電磁波が当たると、電子が形成する電磁場と相互作用を起こして
電子対(電子と陽電子の対です)が起こります。
中性子は、電荷を持っていないので電子との間にクローン力を生じません。
主に原子核と相互作用を起こします。
原子核に弾かれて散乱したり、原子核に捕獲されて一体になったりします。
①荷電粒子は、電子が荷電粒子によって弾かれて原子は正の電荷を帯びます(電離です)。
②電磁波は、電磁波からエネルギーを貰った電子が飛び出して原子は電離します。
③中性子は、電子ではなく核と衝突して核反応を起こします。